大好きな彼の声が聞こえる

イヤホンから聞こえてくるその声は
毎朝私に元気をくれる

同じ時間に起きてイヤホンを耳に挿して
目を閉じるとすぐそばにいるみたい

私の横で話をしてくれているよう

私だけに楽しかったことや美味しかった物
出かけた先の思い出
これからの予定を話してくれているみたい

ラジオを聴いているたくさんの人に向けて
彼は一言一言大事に語っている

きっとみんな彼を身近に感じ
幸せをもらっているんだろう

ほんの短い時間が終り
私はまた目をつむる

カチャカチャとワゴンの近づく音が聞こえる

「小山さん･･･検温ですよ～」

ナースの声で目を覚ます
今日は榎本さんだ

「おはようございます」

「小山さん　具合はどう？よく眠れた？」

「はい･･･眠れました」

「今日は11時から検査が入ってるわね」

「はい」

ここでの入院生活はもうすぐ３か月になる
毎日のルーティンはすっかり覚えた

朝から始まる検温と血圧
朝食が配られる前に湯呑と箸を出す
配膳の人がやかんからお茶を入れてくれる

いろんな食べ物の入り混じった匂い

暖かくて美味しい食事

人の出入りで目覚める病室

今日の担当は榎本さん
私と同じく嵐の智くんを好きな人

だからその日は一日中ワクワクしてしまう
一緒に彼の話ができるから

榎本さんは朝のラジオが聴けないので
私がその日の内容を教えてあげる

早く来ないかしら？
今日はゆっくりいてくれるかしら？

そう思って待つことが楽しみになっていた