目が覚めるとベッドに寝ていた
隣に智くんがいた

こんな風に朝を迎えられるなんて

智くんの帰る時間を気にしなくて良いんだね

しばらく彼の寝顔を見ていた

少し下がった目じり
長いまつ毛
すうっと通った鼻筋
きれいな形の唇
少しひげが伸びてる

全部好きだな

ちょっとあごを触ったら
目を開けた



起きてたの？

うん
君より前に起きてた
顔見てた

恥ずかしい

可愛いなって思って

またそんなこと言って～
大好きだよ



身体を寄せると
俺もだよって抱き締めてくれた



智くん
結婚はずっと先で良いよ
一緒にいられれば幸せなんだから

ずっとずっと愛してるから





ひとまず 完

続くかも知れない…

しばらくして
マンションの空きが出たと
マネージャーさんから連絡が来た

智くんと同じマンションで単身者用の部屋だ
今住んでいる所より狭くなるけれど
セキュリティもしっかりしてるから
親も安心してくれるだろう

引越しは
親友と男友達が来てくれたけど
智くんのことは話していない

夕方まで手伝ってもらい
智くんは夜遅くなって来た


大変だった？

大丈夫だよ

うれしいな
こんなに近くなって
いつでも会えるね

うん
でもよくマネージャーさん許してくれたね

だから大丈夫だって言ったでしょ

また困らせるようなこと言ったんじゃないの？

そうかな

でも私もうれしい



智くんが引っ越し祝いにと持ってきてくれたお酒を飲んだ

いろんな事を話すうちに
私は疲れてたのか
いつの間にか寝てしまった

久しぶりにマネージャーさんからメールが来た

周囲が騒がしくなってきているから
気を付けるようにという内容だった

智くんは
構わないから
今までと同じで良いんだと言うけれど
そんなことできないし
私は引っ越すことを考えた

智くんにそう言うと
一緒に住もうと言い出した



そんなこと無理だよ

なんで無理なの？

実家からよく親が来るし
智くんの友達だって来るでしょう
それに同棲なんて許してもらえない

結婚するのに？

まだ先の話なんだし
一緒には住めないよ

そうかな
じゃあ
俺と同じマンションに越してきてよ
仕事先にも近くなるでしょう

そうだけど
マネージャーさんに許してもらえないよ

大丈夫だから



大丈夫じゃないと思うんだけど･･･

数日後
二人で居酒屋の個室で食事中
メールがあり
彼のグループのメンバーがここに来ると言う

急なことだったので
私はすごく緊張したけれど
智くんに普段通りで良いんだよと言われた

次々にメンバーが部屋に入ってきた
テレビで見ている彼らは
すごく輝いている
同じ部屋にいるなんて信じられない

智くんと一緒にいることも
以前の私には考えられなかったけれど…

智くんは私を紹介してくれた

アウトドアショップに勤めてるんだ
山ガールなんだよ
こないだ一緒に登ったんだ
筋トレが趣味で腹筋がすごいんだ
細いけど元気なんだよ
料理が上手くて
それにこんなに可愛いし

みんな
わかったわかったと笑った

賑やかに話しながら食事した

みんな思ってたとおり仲が良いんだね

俺がリーダーが浮気しないように見張るからとか
最近忙しいのに元気だなって思ってたけど
そういうことだったのかなんて言われて
智くんは笑っていた

いつか結婚するからって
大事なことをさらっと言う智くん

おめでとうって言われて
うれしそうな顔して私を見てる

ずっと一緒にいたい
それだけで良いから

その晩は
お刺身と煮付けを智くんが作って
私はマカロニサラダと味噌汁を作った

お刺身は新鮮だから美味しくて
煮付けの味付けも上手だった
お互いの料理をふざけて誉めあいながら食事し
智くんは好きな焼酎を飲んだ



飲まないの？

眠くなって片付けが出来なくなるからいいよ

一緒にやるから飲みなよ

だって智くん
今日は帰るんでしょ？
いいよ

大丈夫だから

うん
じゃあ少しだけ

いつも俺のこと考えてくれるけど
もっとわがまま言って良いんだよ

うん
でも智くんが一番大事だから

またそういうこと言うんだから



智くんは笑いながら
私の腕を引いて強く抱き締めた



結婚しようね
必ず幸せにするから



今の幸せが続きますように
夢をずっと見ていたいと思った